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告げる(エース→)

だって明日には死ぬかもしれないんだ。

敵船にロギアで覇気使いのしこたま強い奴がいるかもしれないし、大嵐にあって船ごと沈むかもしれない。未知の病気にかかってのたうちながら事切れるかもしれないし、図鑑にも載ってない化け物に頭から呑まれるかもしれない。ここはそういう場所だ。ここは海の上。板一枚下は地獄。人の力の及ばない世界だ。世界一の白ひげ海賊団でも、荒れ狂う嵐の海にころがり落ちた船員ひとり助けることはできない。メインマストのてっぺんから落ちたら普通の人間は即死で受け止めることはできない。そうだろう。それを好き好んで選んで海賊になんてなったのだろう。 だからこの一日を派手に陽気に悔いのないように生きる。明日には死ぬかもしれないのに何を我慢する必要がある。実際昨日は隣で笑っていた奴が、今日の午にはもういない。海軍の砲弾を正面から受けて潰れちまった。砲弾をぶち当てた軍艦は海の藻屑。昨日までいた誰かの素敵な恋人で、将来有望な海兵の青年はもう海の底で魚の餌だ。なあ、俺たちは強いから、ちっとばかし先に進む確率は上がってる。でもダイスはダイスでしかないから、次にゾロ目を引き当てるのは己かもしれない。

明日には死ぬかもしれないんだ。

好きなやつも嫌いなやつも明日にはいないかもしれない。惚れても焦がれてもこれが永劫の別れかもしれない。必ず帰ってくるなんて言葉の半分は果たされはしない。どれほど強くても、それより強い奴はいる。どれほど強くても、この目に映るすべてを守ることはできない。知っている。いや知ってすらいない。明日じゃないかもしれない。今日、この後すぐに、何もかも終わってしまうかもしれない。それが海の上だ。違うか。今この瞬間に島食いがこの船を呑みこまないとどうして言える?何もかもわからないまますべてが終わる。だって今までそうしてきただろう。敵船を一瞬で焼き払い、何もかもわからないまますべてを終わらせてきただろう。それが己に降りかからないとどうして言える?

だから。ああ、長くなっちまったけど、だから。

あんたが好きだよ。

本気かどうかなんてわからない。今そう思ったんだ。明日にはわからない。今日の夜ももうわからない。何も保証しない。何も約束しない。でも、今はあんたがいとおしいよ。それを悔やむのも隠すのも馬鹿らしい。だって明日には死んでいるのかもしれないんだ。俺か、あるいはあんたが。次の瞬間には何も取り戻せないかもしれないんだ。ためらうなど馬鹿らしい。その暇があるなら奪う。海賊なのだから。


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