死んでも誰にも会えないよ。
だから死んじゃだめだ。
死んだら会えるなんて嘘だ。会えないよ。会えない。大事な人には誰一人。
確かにこの世には死より恐ろしいものがあって、
死を恐れる人はそれに軽々とつかまってしまうけれど。
でもだめだ。死んだ人に会いたくて死ぬのはだめだ。
会えないよ。
天の国も、地の国も、そこにはない。
前世も、来世もあるというのならそれは、今だ。
今、目の前にいる人が、明日会う人が、来世で、前世で約束した人だ。
だから死んじゃだめだ。
生きるのが苦しくて死んでも、君はある日生きている別の自分に出会う。
名前が変わっても、何度も思うんだ。死にたいと。死んで"あの人"に会いたいと。
（それはあなたの知らない、"あなた"の知る"あの人"でしかない。）
だから死んではだめだ。死んでも何からも逃れられない。
死んではいけない。
あなたは、死んではいけない。
あなたにはその価値がある。
あらゆる人があなたを死から逃そうとする価値がある。
あのひとの命を賭けてなおあまりある価値がある。
その価値を、あのひとが決めた。
あのひとの死と引き換えにあなたの価値を縛った。
彼が、あの『王』の死と引き換えに縛られたように。
無意識に。罪深く。確信として。その命を縛った。
それは呪いか祝福か。
あの人も常に問うていただろう。
死は呪いか祝福か。
生は祝福か呪いか。
だから死ねない。
死んではいけない。
死んでも誰にも会えない。
あなたの大事なひとはすでにほかの誰かに生まれ変わってあなたのことを知らない。
あなたのことを知らない彼とあなたはいつか出会うかもしれない。
だから死んではいけない。
もう会えなくても死んではいけない。
生きないと会えない。会えてもわからない。決してわかりはしないけど。
どうか、もう一度会うために生きて。
会えても気づかないまま、すれ違ったとしても、
あなたが生きていたから、すれ違ったことを信じて。
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